美作

 

 

(井上靖 「野分」より句あるいは和歌とする)

 

みまさかの

宿のひさしに

芙蓉咲く。

 

気がぬけて

ふぬけになっても

生きている。

 

立ち並び

みなでみおろす

友の墓。

 

(和歌とする)

 

美作を

過ぎて伯耆へ

吹き抜けし

風の後さす

白き陽をみる。

 

陽の降れど

野分けに寒し

美作の

果てまで駈けよ

亡き人の影。

 

みはるかす

野面に残る

おもかげの

遥かに遠し

ひとはけの風。

 

老いの身に

残りしちから

いかほどか

足とられつつ

萱の原行く。